共育コラム
2021年 10月 05日

富山大学の眼科学・林教授が、スマートフォンやタブレット端末などの普及とコロナ禍による外出自粛で、機器を使う時間が大幅に増え、眼に重い負担がのしかかっていると、指摘されています。

オーストラリアの研究機関では、2010年には20億人だった近視の人口が、50年には、世界人口の半分にあたる50億人になると試算され、WHO(世界保健機関)は、このデーターから、近視の増加に伴い、失明する人の数も急増する可能性があると警告しています。

では、なぜ、眼は悪くなるのでしょうか。

それは、スマホなどを使う時間の長さではなく、同じ距離の物を見続けることが要因と考えられています。

物を見る際、その距離に応じて、眼の筋肉はピントを合わせますが、この距離が変わらないと、筋肉の緊張状態が続き、このことが、眼の疲労を蓄積させ、視力低下につながるのだそうです。

子どもの頃から、『遠くの緑を見ろ』と、教わってきましたが、とても大事な事ですね。

最近では、眼精疲労やドライアイといった症状だけでなく、「手元が見えにくい」「夕方は物が見づらい」といった老眼の症状に悩む若年層も増えているそうです。

また、スマホの使い過ぎで、片方の黒目が、内側に向き、物が二重に見えてしまう急性内斜視も増加傾向にあるそうです。

こうした目の機能低下は、肩こりや頭痛といった症状につながることもあれば、心や脳に影響を及ぼすこともあります。

強度の近視となった方を対象にした調査では、うつ症状や不安障害となる率が高く、視力低下で、認知症が疑われる割合が高いとの報告もあります。

デジタル社会において、機器を使用しない暮らしは難しいですね。

でも、林教授は「心掛け次第で視力低下を防ぐことができる」と言われています。

例えば、近視は30センチ以内を見る時間が長くなると進行することがわかっているので、画面との距離を30センチ以上離して見る。

仕事などで、長時間使用する場合も、20分に1回、20秒程度、遠くを眺めることで、近視を防ぐ効果がある。

私も時々、遠くを見るようにしています。「何を見ているの?」と聞かれることもありますが、大した意味はなく、ただ、遠くを見ています。

ふっと、空を見上げ、雲を見るのも面白いです。

近視予防として注目を集めている一つに、1日2時間以上の屋外活動があるそうです。

台湾では、約10年前から、小学校で2時間を目標にした屋外活動を実施し、近視の子どもの割合を世界で唯一、減少させました。

太陽光に含まれる紫の光に近視予防効果があることは、日本の研究でも証明されており、屋外活動は、デジタル機器に触れる時間そのものを減らすこともできます。

最近、子どものスマホ利用やゲーム時間の増加が問題になっていますが、大人が模範を示すことが大切ですね。

子ども達の目を守るためにも、大人がスマホに熱中するのではなく、子どもと一緒に外で体を動かしたり、会話の時間を持ったりすることが必要です。

「目は口ほどに物を言う」と言われ、視線で、相手に思いを伝えることもできます。

デジタル機器を上手に使い、眼を大切にしましょう!!