すずらんブログ
2022年 09月 12日

「出産は病院でするもの」との認識が一気に変わったシンポジウムでした。

実行委員長のお話で、3人の子どもを出産、1人目はクリニックで40時間かかり、乳腺炎にかかってしまったこと。2人目3人目は助産院で出産。どんな風に、どんなところで、どんなケアを受けたいのか選べるのに、知っている人が少ない。

とのあいさつから始まり、自然分娩推進協会代表の荒堀憲二先生のビデオレターでは、自然分娩を求めている声が広がり、助産所を作る自治体もある。病院と助産所の違いを知っておくことが必要。助産所では、帝王切開の率がとても低く、次も子どもを産んでみたいと思えることが少子化につながると指摘されていました。

シンポジストには、助産師の澁谷貴子さん・産科医師の中村薫さん・弁護士の井上清成さん・出産体験で3名のママ・特別ゲストに一級建築士のトリー二・ヤコポさんがそれぞれの立場から話をしてくれました。

澁谷さんのお話では、助産所の役割を教えてもらいました。

助産所では、どんな話でもよく聞き、ひとりを大切にし、不安を最小限にしてあげるなどしていること。妊婦検診はとても時間をかけて行うので、妊婦さんが安心して生活ができている。

助産所では、必要のないことは行わず、とにかく妊婦さんに寄り添っていることがよくわかりました。

また、安らぎホルモン・幸せホルモンと言われる、内因性オキシトシンはとても恥ずかしがりやで、信頼した人の中で、静かな環境で、薄暗い中で多く出るのだそうです。

気持ちの良いお産をすると、また産みたくなる。自己肯定感がUPする。

母を見つめ、子どもを見つめる。親子の絆は愛によって育まれる。

お産は、女性の人生を飾り、その後の人生を豊かにチェンジする。

人は、お産の時に、たくさん愛されると、幸せなお産になる。

子どもを産みたくない人もいますので、決して強制ではありませんが、子どもを産みたいと思う人にとっては、病院での出産だけではなく、助産師さんによる出産も考えてみてはいかがでしょうか。

産科医の中村先生は、病院で勤務していた時に、助産師さんから色々と刺激を受けた話をしてくれました。

助産師・・・会陰切開(赤ちゃんを出やすくするために、会陰部を切ること)しなくても産まれますよ。

中村先生はとても衝撃だったそうです。会陰切開をしないと赤ちゃんの心音が悪くならないことがわかった。

よく「いきんで」と言われますが、「いきみ」とは、呼吸を止めてりきむことですが、分娩台で仰向け状態だと、動脈を圧迫するので危険なんだそうです。

助産師・・・フリースタイル出産でいいんです。

中村先生は、分娩台で仰向けでなくても、四つん這いでもいいんだということに衝撃を受け、フリースタイル出産を始めました。

出産時は助産師さんが行いますが、異常がある時に医師がみます。

ある時、妊婦さんを介助する看護師さんがいなくて、先生がその役をおこなった時、色々なことを思ったそうです。

ずっと妊婦検診で見てきた妊婦さん。親からはいつも「お前に何ができるんだ。何もできないだろう」と言われてきた。先生は「私が、こんな人間なのは、あんなことを言われたり、あんな経験をしたからだ。辛かったけど、ここまでよく頑張ってきたな、って、自分を認めてみませんか。」

自分を守れるようになれば、他人をも守れるようになる。

井上弁護士からは、産科医は、訴えられるケースが多く、なり手がいない。出産育児一時金や産科医療補償制度の問題点などを指摘し、より良くするために取り組んでいる。

助産所は、経営が悪くなってやめるのではなく、産科医がいないために、やめざるを得ない。なぜならば、助産所には、必ず嘱託医として産科医がいないと経営できない。産科医不足のため、嘱託医がいなくなってしまった。

現状を聞き、厳しいなと感じました。

一級建築士のトリー二・ヤコポさんは天才が生まれる街イタリアでは、問題があればそこから新思想が生まれるので、特徴的な建物が多いことなど、イタリアの景色や建物を通し話をしてくれました。

3人のママからは、病院での出産、助産所での出産の違いを通し、助産所では、ゆっくり、ていねいに話を聞いてくれ、安心して出産ができたこと、病院では、我慢をしなければならなかったことも、助産所では、いやなことはいや、なぜそれが必要なのか、我慢しなくていい。といった経験談を話してくれました。

お産を考える時、どこで出産するのか、大抵は、病院の建物がきれいで、食事が美味しい、最近では、無痛分娩を行っているところを選ぶ人が増えています。

病院を否定するものではありませんが、助産所での出産もありだなと思いました。

産科医が減少するなかですが、妊婦さんやそのご家族に寄り添い、安心して出産ができ、その後も寄り添ってもらえる、なんて素晴らしいことでしょうか。

また、病院では、赤ちゃんが生まれて直ぐに母子分離します。お母さんの体を労わるためだと思いますが、助産所では、生まれて直ぐにお母さんと一緒で、母乳をあげます。

愛着が芽生え、愛おしくなり、赤ちゃんを大切にします。

とても勉強になりました。