高瀬下水処理場で消化ガス発電事業が4月1日よりスタートしました。
船橋市では、西浦下水処理場に続き2か所目となります。
4月18日(火)10時に見学会が開催され行ってきました。
処理の流れの説明資料ですが、全体の様子がよくわかります。これに沿って説明を受けました。
建設期間は令和2年から令和4年3月までで、令和4年4月から令和24年3月までの発電期間となっています。
20年間というのは経済産業省が行っている、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)」によるものです。
これは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。
国内での再生可能エネルギーによる発電の普及を目的としています。
日本のエネルギーは、石油や石炭、天然ガスを使う火力発電に依存しています。燃料の調達はほとんど輸入に頼っています。
国際情勢が変化する中で、燃料代の高騰など大きな影響が出始めています。
このため、再生可能エネルギーを普及させることが重要となっています。
また、再生可能エネルギーを有効活用することで、温室効果ガスを削減し地球温暖化防止にもなります。
船橋市には、高瀬処理区・西浦処理区・津田沼処理区・印旛処理区・江戸川左岸処理区の5つがあります。
この中で市内最大の処理区が高瀬処理区で、高瀬下水処理場で下水をきれいにして東京湾に放水されています。
下水がきれいな水になる過程で発生する消化ガスで発電します。
沈砂池ポンプ棟で、下水管を通って処理場に集められた汚水中の砂や大きなゴミを取り除き、さらに細かい汚れを時間をかけて沈ませ取り除きます。ここまでが一次処理。
二次処理では、赤潮・青潮の原因となるリンや窒素を取り除き、最終沈殿池では、大きな塊となった汚泥を沈ませきれいな処理水にします。
これらの高度処理を経て、塩素混和池で、塩素を混ぜて、消毒された水が放水されます。
高瀬下水処理場では、処理水を放水する時の落差を利用して小水力発電を行い、下水処理場内の省エネルギー化を図っています。
高瀬下水処理場では、下水の臭いを外に出さないために、処理施設に「覆蓋」(ふくがい=おおいのこと)をし、上部の有効活用で運動広場や芝生広場が整備されています。
ベルト式で茶色の管に汚泥が運ばれ、大きな消化槽に運ばれます。
消化槽では、発電機の廃熱を利用して約35~37℃の温度に保ち、消化ガスを発生させます。
県道15号線から見えるようにと、大きな船えもんが描かれています。
得られた消化ガスは、脱硫装置でガス中の不純物である微量の硫化水素を除去した後、メンブレン式のガスホルダーに貯留されます。
このガスホルダーは、東京ドームをイメージしてください。二重になっていて、ガスが溜まると中の膜が膨らむそうです。
大きなガスタンクではなく、触ると大きな布のような感じでした。よく子どもたちがテントのような場所で跳ねたりボールプールで遊んだりするのがありますが、それを少し頑丈にしたような物です。
万が一このガスホルダーが一杯になったときは、余剰ガス燃焼装置で燃やすそうです。
これがそうです。試運転をしたので、色が茶色くなっていました。
シャンプーやリンスになどに添加されているシロキサンが消化ガス内に不純物として残存し、発電機の故障の原因となるため除去装置がありました。
(写真を撮り忘れました)
除去装置の脇には、万が一のために、緊急用シャワーと洗眼器が設置されていました。
低公害・省エネ型の高出力ガスエンジンを採用したガスエンジンユニット(消化ガス発電機)です。
扉が開いていると、結構な音がします。通常は扉が閉まっているので、さほど音は気になりません。
最後は、発電量がわかるようになっています。
本日の発電量は、0時からの量です。これまでの発電量は、4月1日からの累計です。
これらの施設は、大規模地震にも対応できるように杭を入れてあります。また、津波についても高さ60cmを想定し高さを設定したそうです。
消化槽からガスホルダーまでが市の財産で、シロキサン除去装置から発電機、受送電設備はJFEエンジニアリング(株)の財産となります。
土地占用料は年間で市に入ってきます。
この事業で発電された電力は、船橋市内の下水道関連施設等に供給され、エネルギーの地産地消が実現されます。
素晴らしい取り組みです。