共育コラム
2023年 05月 18日

ツイッターなどのSNS上で「高収入」「即日現金」といった甘い言葉で誘い込まれた若者たちが、特殊詐欺や強盗に加担してしまう「闇バイト」による事件が後をたちません。

*安易な気持ちで犯罪に加担

「1日50万円稼げる」とうたう闇バイトに応募し、特殊詐欺に関与したとして4月下旬、群馬県在住の元専門学校生(20)が逮捕されました。

逮捕された女性は、昨年12月、警察官になりすまして、高齢者の自宅を訪問し「あなたの口座から現金が引き出されている」とうそを言って、キャッシュカード2枚を盗んだ疑い。

ATMでお金を引き出そうとしましたが、聞き出した暗証番号が違っていて、失敗しました。

逮捕された女性は、「お客さんの家に行ってカードをもらって、お金をおろすだけの簡単な仕事」とのツイッターの投稿を見て応募。

求められるまま、実家の表札や玄関、自分の顔を動画で撮影し、指示役に送っていました。

「実家に何かあるかもしれない」と感じ、指示を断れなかったと言っています。

*脅かされ抜け出せず

特殊詐欺や強盗の実行役などを担わせる「闇バイト」の募集が近年、SNSで多く見られます。

募集は、一見すると犯罪に加担するとは思わないような記述のため、安易に応募する若者が後をたちません。

応募の際に、身分証など個人情報を提示した結果、首謀者の犯罪組織から「家族を殺す」などと脅され、抜け出せなくなったケースも沢山あります。

都内の銀座の高級時計店で5月8日に発生した強盗事件でも、逮捕された高校生を含む16歳~19歳の4人について、「闇バイト」との関りがあったのではないかとの見方が強まっています。

*使い捨ての駒に

犯罪の首謀者が、実行役となる「闇バイト」をSNS上で募集するのは、世界のどこにいても募集への投稿が可能であり、仮に実行役が逮捕されても、捜査の手が自分たちに及ばないようにできると考えているからです。

犯罪組織にとって若者は『使い捨ての駒』に過ぎないのです。

首謀者は、「自分が誰なのかを教えない」(警察庁)。

連絡手段は、送受信した文章や画像が一定期間を経過すると自動消去される「テレグラム」や「シグナル」等、秘匿性の高い通信アプリが悪用されています。

*政府、緊急対策に総力

1月の狛江市の強盗殺人をはじめ、各地で「闇バイト」に絡む広域強盗事件が相次いだことを受け、政府は3月17日、省庁横断で被害防止に取り組む「緊急対策プラン」を決定しました。

特に、「実行犯を生まない」対策として、若者への広報啓発の強化や、SNS上の「闇バイト」募集投稿の削除に力を注いでいます。

*警視庁などが動画やチラシで啓発

今年3月から「#BAN闇バイト」と銘打ちキャンペーンを展開。

啓発動画のSNS上での配信や、歓楽街でのチラシ配布などを通し、注意喚起。

『応募すれば犯罪組織の手先として利用される。絶対に手を出さないで』と呼びかけています。

*「闇バイト」の阻止に向けて『若者らが実行犯にならないための消費者教育を徹底するべき』

*「闇バイト」の連絡手段に特定のスマホアプリが悪用されている実態を通し、「利用制限について、アプリを提供する企業側との協議を進めるべき」

*背景に『つながり』の希薄化

違法であるとわかっていて、なぜ多くの若者が安易にしてしまうのでしょうか。

その背景には、デジタル化に伴う、人と人とのリアルな『つながり』の希薄化があると言われています。

親や友だちとの『つながり』は、犯罪学上、犯罪を思いとどませる『社会的絆』と呼ばれるものの一つで、これが薄れると人は、逸脱行為をしやすくなり、SNSやネット環境は、どうしても『社会的絆』による犯罪へのブレーキが利きにくくなるそうです。

簡単に高額なお金が手に入ることなどありえません。

安易な気持ちは、絶対にダメ!

犯罪に巻き込まれないようにしましょう!!