「食品ロス」とは、食べられるのに捨てられてしまう食品をいいます。
食べられる状態なのに捨てられる「食品ロス」は家庭やスーパー、ホテルや飲食店などあらゆるところで見受けられます。
農林水産省によると、日本では年間2,801万トンの食品廃棄物が発生しており、このうちの4割近い642万トンが食品ロスと推計され、日本の食用の魚介類の量622万トンに、ほぼ匹敵しています。
また、642万トンの「食品ロス」のうち、312万トンが、一般家庭から出ていますので、市民一人一人の意識改革が必要と考えます。
食品の期限表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2種類があります。
「消費期限」は、「食べられる期限」
お弁当や洋生菓子など、傷みやすいもので、消費期限内に食べるようにすること。
「賞味期限」は、「おいしく食べられることができる期限」
スナック菓子や缶詰など、冷蔵庫や常温で保存がきき、劣化が比較的遅いもの。
「賞味期限」が過ぎてもすぐに捨てずに、自分で食べられるかどうか判断をすることが大切です。
「消費期限」と「賞味期限」について、意外と混同されています。
「賞味期限」で廃棄の判断をしていることが、「食品ロス」の原因の一つと考えます。
すでに先進的な自治体では、様々な食品ロス対策が行われています。
長野県松本市では、宴会の食べ残しを減らすため、乾杯後の30分と終了前の10分は自席で食事を楽しむ「30・10運動」を進めています。
これは、乾杯後30分間は、「味わいタイム」として、お料理を楽しむ時間で、お料理はできたてを味わう。
そして、その後「楽しみタイム」で、お料理のことを忘れずに、親睦を深める。
お開き前の10分間は、「食べ切りタイム」もう一度お料理を楽しむ。幹事さんは「食べ切り」を呼びかける。
このようにして、食べ残しを減らすための努力をしています。
4月から始まった「第3次食育推進基本計画」では、国民一人一人が、食品ロスの現状やその削減の必要性についての認識を深め、自ら主体的に取り組むことが不可欠で、このため、食品ロス削減のために何らかの行動をしている人を増やすことを目標としています。
新座市では、紙芝居やクイズなどを活用した出前講座を保育園で実施し、保護者らの間で反響が広がっているそうです。
ユニークなのは、終了後に、ごみについて学んだ証として、「ごみへらすんジャー協力証(こども分別証)」が授与されるそうです。楽しく学べるよう工夫されています。
本市においても、まずは教育・保育施設において、給食や食育・環境教育などを通して、「食品ロス」削減のための啓発を進めるべきであると思います。
また、家庭における食品在庫の適切な管理や食材の有効活用の取り組みをはじめ、飲食店等における「飲食店で残さず食べる運動」の展開など、市民、事業者が一体となった「食品ロス」削減に向けての取り組みを進めることが重要であると考えます。
事業者の観点から考えてみると、「食品ロス」いわゆる、残飯が多いと、ゴミとなってしまいます。
ゴミを減らすことにより、ゴミの処理費が減少します。
ゴミが減少すると、市の清掃工場の負担が減ります。
このことは、各家庭にとっても同じことです。ゴミを減少させる観点からも、市民、事業者が一体となって、「食品ロス」削減に取り組むよう、啓発すべきと考えます。
本市の災害備蓄食糧品ですが、「賞味期限」近くの食糧品は、教育・保育施設に声をかけ、利用してもらっています。
またNPOの活動としては、「賞味期限」が迫った食品を引き取り、食べ物に困っている人や施設に無償提供する「フードバンク」があります。
各家庭にとっても、食べ残しをしない、無駄な物は買わない、冷蔵庫の中を確認してから買い物に行くなどの工夫をし、環境にも、お財布にも優しい「食品ロス」削減に向けて取り組んで参りましょう。