1月6日(日)柏市にあるモラロジー研究所主催の『「道徳をどう解く!?」経済学者からの提言』シンポジウムに参加しました。
慶応義塾大学商学部 中島隆信教授による、基調講演「経済学で考える道徳教育」では、福沢諭吉の「文明論之概略」を通して話がありました。
世の中が変わっているのだから、様々なことが変わって当然。
例えば、高校野球、甲子園でのピッチャーの球数が制限された。
反対の人もいるだろうが、50年も前とは、気温も環境も変わった。
今までの事が当然ではない事を、教えてもらいました。
経済学をどのように、結び付けるのか、興味津々で聞いてきました。
家族について
家族愛が前提とされているが、そうではない。
家族は組織である。組織は努力しなければ維持できない。
互いに愛すべき存在という思い込みがある。愛すべきという呪縛が家族を苦しめる。
以前は、夫が働きに出て、妻が家庭を守っていたが、今は二人とも社会に出て活躍している。
家族間のコミットメント(責任とか約束)は非対称。コミットメントが強いとホールドアップ(後戻りできない)のリスクが高い。
コミットメントの種類・・・結婚、改姓、退職、出産
ホールドアップ・・・・・・共有物(時間、空間、財産)の保全努力の放棄
親子関係から考えると
子育てに「三種の動機」
*利己・・・親自身のため(お受験、習い事など)
*利他・・・子どものため
*王朝・・・家系のため(開業医、寺院、梨園など)
強力かつ非対称な親子関係
*子どもは親を選べない
*「親不孝」「薄情な親」というNGワード
*逃げ場を失うと悲惨な事件につながる
夫婦は、離婚という形で逃げられるが、親子は、逃げられない。
解決策として、子育ての目標は、子どもの自立を第一に。
自立というのは、親以外の人と社会の中で生きられるようになること。
いじめについて
問題が解決しない理由・・・「いじめはあってはならない」という呪縛。
いじめはウイルスのようなもの・・・どこにでもありえる。環境が整うと増える。
第1段階・・・スタンダードから外れたことがある
第2段階・・・ボスが不自然さと認定する
第3段階・・・多数がその認定に従う
第4段階・・・軽めのからかいが始まる
第5段階・・・感覚がマヒし、エスカレートする
第6段階・・・深刻ないじめになる
段階が進むにつれて、難しくなるので、最初の段階を見逃さないことが重要。
やまゆり園の事件や、給食の残りを持ち帰った問題、ハラスメントなどを通して、考え方や問題の本質は何なのかを見極めることの必要性を教えてもらいました。
まとめ
*道徳のあるべき論はリスクが高い
*善悪論(ゼロか1か)を避けよ
*道徳教育は、知恵(公徳)を高めること
休憩をはさんで、シンポジウムが行われました。
ここでは、基調講演を基に、それぞれの立場から、道徳教育について語られました。
新学習指導要領に「主体的、対話的、深い学び」「考え、議論する道徳」と道徳についてある。
議論は、考えを持っていないとできないが、まずは対話から始めている。
その時に気を付けるのは、「否定しない、茶化さない、聞き流さない」
また、議論するには、相手の考えを批判することも必要。考えの基となる論理、整合性を見つける。
参加者からも、質問や教育現場での声がありました。
まとめてみて、うまく伝わりませんが、今までと見方や考え方を変えてみる必要性を感じました。
道徳といっても、人の生き方、社会生活を営む上で、人を傷つけない、生命を大切にするなど善悪を身に付けることだと思います。