すずらんブログ
2016年 08月 09日

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デンマーク・オーデンセ市の主権者教育担当の先生を講師として招いた、「船橋市主権者教育推進事業・主権者教育研修会」が、船橋市中央公民館で開催されました。

市内の小中高、特別支援学校から、各2人の先生が参加をし、講演・パネルディスカッションを通して、デンマークや品川区の取り組み等を学び、本市における主権者教育をどのようにしていくのか、研修しました。

デンマークの教育制度そのものが、日本とは大きく違いますが、学ぶものは多かったと思います。

通訳を通しての研修は初めてでしたが、私なりに、まとめてみました。

デモクラシー教育、いわゆる、民主主義「~イズム」といった概念ではなく、もっと身近な感覚、生活の一部に存在する、民主的な教育。

対話を通して、相手の意見や自分の意見を導き出し、自分とは違った意見であったとしても、「自分の意見を聞いてもらえた」と感じることが大切。

デンマークの義務教育課程にあたる小中学校は、0年生から9年生までの10年間。学力を評価する試験はなく、成績表は7年生からだそうです。

小中学校は、自由と主権在民の社会に基づく、義務・権利・共同責任・社会参加が出来るように、生徒を導かなければならない。そのために、学校は、知的・自由・平等・デモクラシーによって、特徴づけられる。

知識・技能を身に着けても、それをどのように使うのかを教えなければ何もならないので、そちらに重点をおいている。

授業では、先生から「~しなさい」ではなく、自分たちが選んだ「小テーマ」について、ネット等のICTを活用したり、本などで調べ、グループ毎に、発表をする。

例えば、先生が、今日はこれをやろうと準備をしていても、生徒から「EU離脱のことが話題になっていたけれども、もっと知りたい。」と言われれば、EUのことを取り上げるのだそうです。

ICTは、タブレット端末は、当たり前。PC、スマホを活用し、電子白板(電子黒板ではなく、白板なんだそうです)で、発表。スマホは、学校で使うものだから、小学校に上がるときに、買い与えている。

机とイスはなく、グループワークなので、例えば、図書館で調べたいと言えば、図書館で、違う教室で、静かにやりたいと言えば、違う教室で、グループ毎に、やりたい場所で、やっているのが、とても印象的でした。

先生の役割は、生徒同士のディスカッションを導きだすことで、先生の意見を強調するわけではない。自分たちで考えて、行動できるようにすること。

学習課題(先生が提示)と問題(生徒から出てきたこと)を学ぶことにより、思考力・判断力・表現力を身に付ける。

もし何かが起こったとき、「その場にいて、意見を言わなかったなら、文句も言えない。」だから、文句があるならば、キチンと伝えることが大切。

最後に、オーデンセ市に行き、実際に授業を視察した、小室中学校の先生から、「これからは、アクティブラーニング(課題を自ら見つけ、解決方法を探し出す)が必要。」「生徒たちは、『学びを楽しんでいる』印象が強かった。」とのお話がありました。

デンマークと日本では、教育制度が違いますが、対話力を身に付けることは、生きていくうえで、とても必要な事です。

主権者教育というと、ついつい18歳選挙権で、選挙の事を学ぶための教育と思いがちですが、社会参加・社会の問題を考えることを身に着けるための教育だという事がわかりました。