すずらんブログ
2015年 03月 17日

東日本大震災から、4年が経ちました。死者・行方不明者が1万8000人を超え、今なお23万人近くの方が避難生活を強いられています。一日も早く安心して生活が出来ることを強く祈ります。

群馬大学大学院理工学府 片田教授は、2004年から、岩手県釜石市の防災・危機管理アドバイザーとして、市内の小中学校で防災教育に取り組んできました。

震災時、市内のほとんどの児童・生徒が、自らの判断で避難行動をとり、津波から逃れることができました。「釜石の軌跡」と言われ、多くのメディアで取り上げられました。

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片田教授の取り組んだ防災教育の事例を紹介します。

片田教授「家の外で大地震に遭った時、津波が来る前に、すぐ逃げますか?」

児童「逃げる!」と元気に答えます。

片田教授「じゃあ、皆が逃げた後、君たちのお父さん・お母さんは、どうするだろう?」その途端、児童たちの表情が暗くなります。

児童「僕たちのことを迎えに来ちゃう・・・」

「来る」ではなく「来ちゃう」と。

 

片田教授「お父さん・お母さんは自分の命よりも君たちの命の方が大事なんだ。だから君たちが『逃げる子』になることが大切だよ。それを、ご両親が信じてくれていれば、迎えには来ない」

そこまで言って、”宿題”を出しました。「君たちが『逃げられる子』だということを、ご両親にわかってもらわなければいけないね。」

彼らは、自宅に帰ってから、ご家族との語らいの場を持ち、実感するのです。

お父さん・お母さんが自分のことをどう思っているのか。どれほど大切に思ってくれているのか。その親子の絆に触れて、涙する子もいました。

そこで、子どもは気付きます「自分の命を自分で守ることが、お父さん・お母さんの命を守ることにもつながる」ことを。

津波で犠牲になられた方々の状況を検証すると、親が、子どもを懸命に探した末に亡くなられたケースが少なくありません。

目の前には、高台へを続く階段もあった。でも上らなかった。いや、津波が来ると分かっていたからこそ上れなかった。その近くに、大切なわが子がいるかもしれないと思ったから。

片田教授は語っています。「災害時において、『人間は”人間ゆえに”逃げられないんだ』と。家族に絆があるからこそ、お互いを思いやる生きものだからこそ、逃げられない。

しかし、東日本大震災では、それによって被害が大きくなってしまった事実もあるのです。そのことを私たちは直視しなければなりません。防災教育とは、避難の「HOW TO」だけを教える”逃げろ逃げろ教育”ではありません。

災害と向き合うことを通して、家族を思い、自分の『命の意味』を考え、『自分の命を守ることの意味』を突き詰める教育です。いわば『生き方を問う』教育なのです。

子どもたちの生き方が変わり、地域社会が変わっていく。防災教育には、そんな大きな可能性があると信じています。」 

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以前、片田教授に船橋に来てもらい、学校の先生を中心に講演会を開催してもらいました。私も参加しましたが、防災教育の必要性を強く感じました。これからも、防災教育の大切さを訴えて参ります。