令和4年第4回定例会での質問・討論をしましたのでご報告いたします。
核家族化が進む中、孤立感や不安感を抱く妊婦さんや、子育て家庭も少なくありません。
全ての妊婦・子育て家庭に対し、安心して出産・育児ができるようにすることが重要で、この様な中、0歳~2歳に焦点を当てた「伴走型相談支援」と「経済的支援」を一体的にみる「出産・子育て応援交付金」が創設されました。
では、なぜ0歳~2歳に焦点をあてたのでしょうか。
もう皆さん当たり前だと思っていることかもしれませんが、義務教育では、教科書の無償化が1963年度から段階的に実施され、1969年度に全小・中学校の児童・生徒を対象に完全実施されました。
2019年10月からは「幼児教育の無償化」2020年4月から「私立高校の授業料実質無償化」「高等教育の無償化」がスタート。(公立高校はすでに授業料実質無償化となっています。)
幼保から大学までの無償化が切れ目なくつながっています。これらの事から0~2歳における経済的支援がないため、今回の「出産・子育て応援交付金」が創設されたわけです。
妊娠届を出した時の「出産応援ギフト・5万円」は、妊婦さんが対象で、妊婦さんの口座に振り込まれます。
また出産後の「子育て支援ギフト・5万円」は、保健師さんの面談を受けた養育者ということで、面談をご夫婦で受ければ、どちらの口座でもよいが、必ず母親が面談を受けるので、たいていが母親の口座に振り込まれることが明確になりました。
このことはとても画期的なことです。
児童手当や様々な支援金のほとんどが、世帯主となっているため、複雑な家庭環境の場合、母親が手にすることが難しいケースもあります。
さらに、「伴走型相談支援」でも、妊娠8か月面談を新たに行い、面談を希望しない人やアンケートの回答で、保健師さんの判断で、支援が必要な場合は、働きかけていくということです。
船橋市では、妊娠届時に、保健師等が面談をし、妊娠・出産支援プランを作成し、その場で説明をしています。
場所は市役所1階の母子健康手帳交付コーナー・各保健センター・船橋駅前総合窓口センター(フェイスビル5階の10番窓口)です。
また、出生後概ね30日~60日以内に乳児家庭全戸訪問をし、乳児検診や予防接種、個別のニーズに合わせ、産後ケアサービス、保育園入園手続き等の紹介をおこなっています。
出産は命がけだと常々伝えてきましたが、今回、母親に視点が充てられたことをとても評価します。
この事業の開始時期は、令和5年2月からですが、令和4年4月1日以降に出産された全ての方が対象となり、遡及されます。
①令和4年4月1日~令和4年12月31日までに、出産した方・生まれた子の養育者・・・出産応援ギフト(5万円)と子育て応援ギフト(5万円)
②令和4年4月1日~令和4年12月31日までに、妊娠届を出し、出産していない妊婦・・・出産応援ギフト(5万円)
上記①,②の方は、2月7日頃に申請書が発送されます。
③令和5年1月1日~令和5年1月31日までに、出産した方・生まれた子の養育者・・・子育て応援ギフト(5万円)
上記③の方は、2月16日頃に申請書が発送されます。
④令和5年1月1日~令和5年1月31日までに妊娠届を出し、出産していない妊婦・・・出産応援ギフト(5万円)
①~④までの方には、遡って支給されますので、お手元に申請書が届きましたら、速やかに返信してください。
令和5年2月1日以降は、妊娠届を出したとき、出産後、保健師等の面談を受けた後に支給されます。
*令和4年4月以降、事業開始前に他自治体で妊娠届をした方が転入してきた場合や、事業開始前に「出生している方」が転入してきた場合は、船橋市の支給対象となります。転出された方は、転入した自治体で支給対象となりますので、ご確認ください。
今回は、少しでも早くお手元に届けたいとの思いから現金支給となりましたが、令和5年度以降は、国からの情報を整理し、出産・育児関連商品の商品券であったり、妊婦検診交通費やベビー用品等の費用助成や、産後ケア・一時預かり・家事支援サービス等の利用料助成・利用料減免等具体的にすることも検討する必要があります。
妊娠届時の面談の実施時、乳児家庭全戸訪問までの面談時にアンケートを実施しますので、アンケート結果を基に検討されます。
また本市では、地域担当の保健師さんが、関わってくださっていることは重々承知していますが、保健師さんは母子の健康管理が主な役割です。
実際にママ達が望んでいるのは、家事援助や話し相手、体調が悪い時に利用できるサービスです。
産後ケアは、助産師さんが、母体・新生児のケアをはじめ、授乳や沐浴等の育児指導、育児相談を行っています。
また、掃除や洗濯、買い物などの生活援助は、船橋市福祉サービス公社が行っている、さざんかホームヘルプサービスがありますが、こちらのサービスは、あくまでも家事援助だけで子育ての援助や相談はできません。
産後ドゥーラは、家事や育児を中心とする訪問支援です。
食事作りや掃除、洗濯などの生活援助はもちろんですが、赤ちゃんのお世話やお母さんの悩みを聞いてあげ、寄り添って支えることができます。
また、家庭訪問することで、家庭の様子を把握することができます。
例えば、玄関の靴がぐちゃぐちゃになっていたり、乱雑な部屋の様子などからも、お母さんが置かれている状況がわかり、じっくりと話を聞いて寄り添うことができます。
また、上にお子さんがいる場合、例えば、上の子が赤ちゃん返りをし、困っているときに、上の子を見てくれる人がいるだけでも、ほっとします。
夜泣きが大変で、寝ることもできずにいることもありますが、昼間、家庭訪問で来てくれ、赤ちゃんを見ていてもらい、ゆっくり体を休めることができたとの声も届いていますが、産後ドゥーラの利用は、全額自己負担で1時間当たり2500円~3000円ほどかかると言われているため、保健師さんからは、問い合わせはあるものの、高額のため利用できないという声が届いていることを、昨年の第4回定例会で紹介をしました。
産後ケア事業の宿泊型は課税世帯で1日2800円、通所型は1日2000円、さざんかホームヘルプサービスの生活援助は1時間950円となっています。
産後ケア事業とは別に、市川市では、産後家庭訪問支援ヘルパー派遣事業があり、1時間当たり800円、千葉市では、エンゼルヘルパー派遣事業が、1回2時間当たり1680円で行っています。
どちらも、ヘルパー派遣事業所はもちろんですが、産後ドゥーラの方も登録されています。
本市においても、家庭訪問支援ヘルパー派遣事業を行うべきと考え提案をしたところ、子育て支援部からは、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭を支える環境整備が必要なことは認識しているので、先進市の事例など研究するとの答弁がありました。
10月に「21世紀の豊かな子育てのために、地縁・血縁にかわる新たな縁づくりを~今、本当に必要なアウトリーチ型の子育て支援とは?~」というオンライン研修に参加しました。
こちらは、ホームスタート・ジャパンの方が、寄り添う家庭訪問で子育て支援をおこなってくる中で、何が必要なのか。
コロナ禍で出産をしたお母さんたちは、病院でも、ママ達との交流もなく、独りで出産、公園に行っても、マスクで顔も覚えられない、ましてやママ友も作れない、孤立しているママ達が多くいる中、何が大変なのかも分からず、人に頼っていいことを知らないママ達が沢山いることを紹介してくれました。
ホームスタートは、地域の子育て経験者が、週に1回2時間程度、未就学児のいる家庭を定期的に訪問し、ママ達が話したいことを聴き、子育て経験があるからこそ、一緒にグチや大変さを語り合ったり、何気ない会話をしたり、一緒に買い物や公園などに行ったりしています。
船橋市内でも活躍をしています。
家庭訪問支援ヘルパー派遣事業もそうですが、今後、多く人の力も借りて、妊娠・出産・育児の悩みに寄り添うべきと考えます。
あるママさんからの要望ですが、船橋市で訪問型サポートがスタートするならば、妊娠が分かり、母子手帳をもらう時に、訪問型サポートの情報と利用チケットがあったら、つわりがひどい時や不安な時、体調が悪い時など利用しやすい。
産後は、出生届を提出した時に、訪問型サポートの情報と利用チケットがあったら、夜泣きで辛い時や上の子の面倒が大変な時、体調がすぐれない時などに利用しやすい。と言われていました。
産前産後のママの子育て環境が良くなることで、虐待やうつが減少することを願っています。